NTTの公衆回線がINS64(ISDN)とアナログ回線それぞれ1本づつ引いてあり、アナログ回線を利用してADSLを使用しているケースを想定する。当初はアナログ公衆回線を2本引いていたがISDNブーム時に2本ともISDNへ同番移行し、最近になってADSLブームでISDNのうち一本を電話番号が変わってしまうがアナログに戻しADSLにも利用しているケースとする。
現状では、
-
アナログ回線もしくはインターネットIPフォン(以下IPフォン)への着信は電話機Cに限られ、電話機A及びBへ転送できない。
-
ISDN回線への着信は電話機A及びBになり、電話機Cへ転送できない。
-
同じ組織・同一建屋にもかかわらず、電話機A及びBから電話機Cへ・またその逆方向の内線通話が出来ない。NTTへの通話料金が生じる。
という不都合がある。
この場合、PBX・ボタン電話などを導入するには予算・規模ともに小さく、メリットが出にくい。また、以前はISDN2回線だったものを、最近流行りのインターネット接続のブロードバンド化ということで1回線を電話番号が変わってしまうデメリットを我慢してISDNからアナログ回線+ ADSLにした。これをCisco 2600を利用して内線IP化する場合にまたISDNにするとなると、
メリット
-
Cisco2600に収容するにはISDNのBRIの方が扱いやすいが、
デメリット
-
アナログに戻したものをまたISDNに戻すのはユーザーには抵抗があるだろう。(局内工事費がかかる)
-
ISDNに再び戻すとADSLよりもインターネット接続速度にメリットがない。
とデメリットの方が大きい。そこでNTT公衆回線については現状のまま、内線IP化を考える。
-
ISDNはWIC-1B-S/Tに収容する。(既存のTAと同時利用可能。TAがDSU内臓モデルならばそのDSUが利用可能。)
-
アナログ回線はWIC-2AMの1ポートに収容する。
-
IPフォンアダプタをWIC-2AMののこりのポートに収容する。
-
内線側はNM-2Vに2枚のVIC-2FXSを載せ電話機とFaxを収容する。
これによって
-
アナログ回線への着信を全ての電話機で受けられるか、転送が可能となる。
-
同様にISDNへの着信も全ての電話機で受けられるか、転送が可能となる。
-
更に、IPフォンへの着信も全ての電話機で受けられるか、転送が可能となる。
-
音声通話・Fax通話の発信を安価なインターネットを経由できる。
-
110・119といった緊急電話を全ての電話機から発信可能。
-
WIC-2AMのモデムを利用してLAN上のPCからダイアルアップできる。発信のみに限ればLAN上のPCからFaxが送信できる。
-
内線電話機を増やす必要がある場合には、
-
LANにSWとIP電話機を追加するか、
-
Cisco ATA187をLANに接続して追加のアナログ電話機を収容する。
などの方法で対応できる。
S26CP-12215T Cisco 2600 Ser IOS IP PLUS
|
1
|
2600XM
|
1
|
WIC-2AM
|
1
|
WIC-1B-S/T(WIC-1B-S/T V3推奨)
|
1
|
VIC-2FXS
|
2
|
NM-2V
|
1
|
DRAM
|
64MB
|
Flash
|
32MB
|
※WIC-1B-S/T V3は後継機種、2800シリーズでも使用可
見かけではCisco 2600が1台だが外線と内線間はPC LANであり、2600の中ではVoIPで音声が流れている。
ISPの提供するIPフォンをIP電話アダプターを通さずに(アナログ電話信号に戻すことなく)Ethernet経由で受け、2600にIPフォンアダプタの役を任せても良いし、上図のように一度アナログに戻しWIC-2AMで2600に入れても良い。
FAXも画像のアイコン通りのFAX専用機ではなく、FaxモデムとPCの組み合わせにし、受信データはOutlookの受信箱へ、ということも可能。当然にVoice MODEMであれば留守電として音声データをOutlookで受けられる。
ひかり電話の場合はADSL部分をひかり電話と読みかえれば良い。
組織の成長に合わせてCall Managerを導入すると、よりこまやかな通話制御が可能となる。電話機を増やす場合にはCatalystを追加してポートを増やせば電話機が増設できる。アナログ電話機を増やすならばIP Gatewayが必要だ。IPフォンならばそのままEthernetポートに接続すればよい。Cisco Unityを利用するとExchange Server + Outlookが留守電になる。なにしろ2600XMシリーズには少なくとも標準で10/100Mbpsのポートがついているのだから。(Call Managerを導入するほどの大きな組織にしたいよね)